不完全美学

まぁ当然だよね。
勢いでその場限りの男に身体許しちゃうなんて、最低だ。

あたしは真弓から視線を外して俯く。

だけど真弓から出た言葉は、あたしの思いがけないものだった。


「何逃げてんの?」


あたしはパッと顔を上げる。少し呆れたように怒る真弓と目が合った。


「ライバルから逃げて諦めるなんて、葉月らしくない。」


真弓は声を荒げそうになるのを抑えてあたしに言う。

て言うか普通、怒るとこそこじゃないでしょ。

もっと道徳的にダメなとこあるじゃん。
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