不完全美学
から回り
真弓の言葉に後押しされて、あたしは放課後に美術室に向かっていた。
凪にまとわり付く梓を見て、今日のあたしは平気で居られるだろうか。
「凪、居る?」
入口の扉を開けるとすでに凪も梓も中に居た。
絵の具やら筆やらの準備をしているようだ。
あたしに気付いて口を開いたのは凪ではなく梓だった。
「あれ? 先輩、また来たんですか?」
嫌味だとすぐに分かる梓の言葉。
だけどあたしは努めて平気な顔をして答えた。
「関係ないでしょ? あんたには用はないもの」