不完全美学
なんだか、何もかもが上手くいかない。
ライバルが現れたって、こんなに動揺したことなんてない。
凪はなんだかんだであたしを受け入れてくれてると思っていたのにな。
あたしも凪をそれなりに理解してたはずだったのに。
あぁ、どうしよう。
今までの時間をあたし自身が裏切ってしまった。
格段に冷えた空気と鋭い風があたしを滅入らす。
その時、あたしの視界が栗色の髪をとらえた。
「……凪!」
凪はあたしに気付くと、少し驚いたみたいにあたしを見た。