不完全美学
あたしは凪に駆け寄った。
何か言わなきゃ。
あたしの思いに反して、口を開いたのは凪だった。
「ずっとここに居たのか?」
あたしはパッと顔を上げると、遠慮がちに頷く。
待ち伏せみたいだった?
ウザイって思われたかな……。
だけどあのままにはして置けなかったんだ。
美術室で見せた最低なあたしを、少しでも取り繕いたかった。
「さっき、ごめん。あたし変だった」
もっと上手く言いたいのに、どう言えば良いのか分からなくて。