不完全美学
凪は少し考えるよう黙った後、あたしに言う。
「お前、なんか必死になってたみたいだけど」
「別に必死になんかなってないもん」
そう言いながらも内心ギクリとしていた。
梓に対抗しようとして、あたしは確かに必死だった。
また凪はあたしのことを見抜くんだ。
悔しい。カッコ悪い。
「まぁ、いいけど」
凪がそれほど気にしていないようなので、とりあえずホッとした。
あたしは少し躊躇ったけれど、恐る恐る凪に聞く。
「……あたしが美術室に居ると、邪魔?」