不完全美学

凪はあたしの言わんとしていることを読み取るように、真っ直ぐにあたしを見る。

あたしはまるで最後の審判を下されるような気分だった。


「別に」


凪が一言そう答えた。

素っ気ない言葉だけど、あたしは胸を撫で下ろす。


「じゃあ、また行っても良い?」

「良いけど。てか、いちいち聞かなくても良いだろ」


さっき「帰れば?」って言ったくせに。
コンクールの絵を描く間、「来るな」って言ったくせに。

それでもあたしは嬉しかった。

凪はあたしを完璧に拒絶した訳じゃない。

その事実があたしを安心させた。
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