不完全美学

翌日のあたしの気分は最悪だった。

今日はもう美術室に行けない。
凪と梓があの後どうなったのか、知りたくない。

だけど、会いたい。

矛盾した自分自身の心に嫌気がさす。


沈んだ気持ちのまま校門をくぐり、玄関で上履きに履きかえる。

すると玄関を抜けてすぐのホールに人だかりが出来ていた。

なんだろう。

大して興味もなかったけれど何気に目をやると、そこには“絵画コンクール受賞作品”という文字。

ハッとしてあたしはその人だかりの中に割り込んだ。
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