不完全美学

あ、それには答えるんだ。
会話が難しいな、こいつ。

だけど了承を得られたことだし、あたしは試しに呼んでみた。


「凪」

「用もないのに無駄に呼ぶな」

「ちぇっ」


あたしはわざとらしく舌打ちをした。

まずい、もう彼氏との約束の時間が来ちゃう。


「あたし約束があるからもう行くね、じゃあね、凪!」


凪はまた何も言わなかった。

あたしはまた駆け出して、急いで駅の方に向かった。


彼氏はもうすでに到着していて、少し怒ってたけどあたしが「ごめんねぇ」って言えば簡単に許した。

凪の後だから余計に、簡単な男だなって感じる。
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