不完全美学

絵の右側に凪の名前が貼られ、その隣にタイトルが出ている。

“歪”

「これ、人だよね?」

「だね。モデルとか居るのかな?」


あたしは堪らなくなって、その場を後にした。

もうあたしには躊躇いもなく、廊下を走り抜ける。

向かった先は凪のクラス。


「凪!」


教室に入ると、凪は窓際の席で眠そうに外を眺めていた。

あたしの声に気付き、ゆっくりと視線をこちらに向ける。

あたしは乱れた息を整えながら、凪を見る。

視界が少しぼやける。
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