不完全美学

「なんであんなみっともないあたしを描いたの?」


今のあたしみたいにぐしゃぐしゃに泣いてるあたし。

もっとも凪の絵の中のあたしは、みっともなくなんてなかったけれど。


「綺麗だと思ったから」


凪はそう言ってあたしを見た。

あたしは何て言って良いかわからず、遠慮がちに目を伏せる。


「愛して欲しくて、ボロボロに泣いてた。傷のある人間の方が綺麗なんだって思った」


あたしはまた凪に視線を移す。


「だからタイトルが“歪”なの?」


凪はこくりと頷いた。
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