不完全美学
冬の空気は冷たいけれど、日差しは優しくて暖かい。
凪は相変わらずの仏頂面で、だけど柔らかな口調で呟く。
「だけど最近のお前は、悪くない。なんていうか、自然」
「自然?」
凪は少し考えた風にして、また口を開く。
「以前のお前は、なんだか作り物みたいだった」
その言葉の意味を、あたしはすぐには理解できなかった。
だけど思えばあたしは男をオトすために、イイ女を作り上げていたのかもしれない。
近頃のあたしにはそういう意識はもうない。
そんな自分はあまり魅力を感じないけど、凪は悪くないって言ってくれるんだ。