不完全美学
「分かった」
凪は一言そう言うと、立ち上がってお尻をはたいた。
分かったって何?
まったく、相変わらず凪の考えてることは分からない。
だけどどこか安心している部分もある。
とりあえず拒絶はされずに済んだんだから。
以前に「付き合って」と言った時とは、違う反応だった。
それだけで今は十分だ。
授業の終わりを知らせるチャイムが鳴り響く。
あたしも立ち上がってスカートを払う。
「戻ろうか」
あたし達は美術室の裏から出てそれぞれの教室に戻った。
凪の背中をあたしはしばらく見送った。