不完全美学
真弓はキューティクルの整った髪の間から、その強く優しい瞳を覗かせた。
「焦んなくて良いからね」
いつも思うことだけど、真弓の言葉はあたしの心にストンと届く。
一番心地良い強さで響いてくる。
あたしはコクリと頷いた。
そうだよね。
焦ったって何か出来る訳じゃないんだし。
返事も凪のペースに任せよう。
時間なんて沢山ある。
例えば凪と同じ大学にでも行けば、卒業してからもそばに居られる。
ゆっくりで良いや。
あたしが凪しか要らないのは変わらない事実だから。