不完全美学

午後の授業も全て終えると、真弓があたしに目で合図してきた。

“行きなよ”って、そういうことだ。

あたしは少し恐い気持ちもあったけど、真弓に頷き返して教室を出た。


昨日の今日だから、凪とは顔を合わせづらい。

まして梓の告白の結果を知らない。

美術室に暗黙のトライアングルが出来てしまう。

気が重くなるのを感じたけど、逃げちゃだめだと自分に言い聞かせて美術室に向かう。

恐いけど。
梓のことは気になるけど。

それでも会いたいから。

あたしって、こんなに健気だっけ?
なんだか少しくすぐったい。
< 225 / 252 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop