不完全美学
午後の授業も全て終えると、真弓があたしに目で合図してきた。
“行きなよ”って、そういうことだ。
あたしは少し恐い気持ちもあったけど、真弓に頷き返して教室を出た。
昨日の今日だから、凪とは顔を合わせづらい。
まして梓の告白の結果を知らない。
美術室に暗黙のトライアングルが出来てしまう。
気が重くなるのを感じたけど、逃げちゃだめだと自分に言い聞かせて美術室に向かう。
恐いけど。
梓のことは気になるけど。
それでも会いたいから。
あたしって、こんなに健気だっけ?
なんだか少しくすぐったい。