不完全美学
翌日、日直に当たっていたあたしは職員室に向かっていた。
職員室に行く途中に一年の教室の前を通る。
その時ちょうど正面から梓が歩いて来た。
隣には背の高い男の子。
梓はあたしと目を合わせることもなく、男の子と楽しそうに話しながら通り過ぎていった。
梓もきっとそんな繰り返しなんだろう。
欲しいものはすぐにでも欲しい。
でも手に入らないものに執着はしない。
梓もいつかは気付くのかな。
ただ一人を本気で想うことの方が難しくて、だけど幸せだってこと。