不完全美学

翌日、日直に当たっていたあたしは職員室に向かっていた。


職員室に行く途中に一年の教室の前を通る。

その時ちょうど正面から梓が歩いて来た。

隣には背の高い男の子。

梓はあたしと目を合わせることもなく、男の子と楽しそうに話しながら通り過ぎていった。


梓もきっとそんな繰り返しなんだろう。

欲しいものはすぐにでも欲しい。
でも手に入らないものに執着はしない。


梓もいつかは気付くのかな。

ただ一人を本気で想うことの方が難しくて、だけど幸せだってこと。
< 229 / 252 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop