不完全美学
美大……
そうだよね。
凪には絵がある。
もっと早くに気付くべきだったんだ。
普通三年は部活を引退するはずなのに、凪が毎日絵を描いていたこと。
美大なんて、あたしは行けないよ。
焦る必要はないって思っていたのに、急に不安になってしまった。
どうしよう。
凪と居られる時間がもうあまりないんだ。
あたしは根が生えたような足を強引に動かし、教室に戻る。
鞄をとったあたしは、美術室に向かってかけだした。