不完全美学

あたしの心は複雑だった。

凪があたしと関わったことによって前に進めた。

それはなんて素敵なことなんだろうって思う。

あたしなんかが、凪の役に立てたことは本当に嬉しい。

だけど。

凪が美大に行くってことは、春からは同じ学校には通えないってことだ。

学校が違っても会える、なんて関係じゃない。
あたしと凪は。


凪の切れ長の目があたしを捕まえる。

あたしは背けることも出来ず、頼りない目で凪を見た。

凪の気持ちが知りたい。
でも、聞くのが怖い。
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