不完全美学
凪は何も言わずにただあたしを真っ直ぐ見てる。
「正直凪は愛想がないし、キツイし訳わかんないけど……」
あたしはミキサーにかけられたみたいな頭の中を精一杯整理して話す。
言いたいこと、言うべきことを間違えないよう慎重に。
「だけどそんな凪のそばが、あたしにとっては居心地が良いの」
こんなこと、前のあたしなら絶対言えなかった。
ううん、それ以前にそんなこと感じなかっただろう。
改めて実感するのは、なんてつまらない恋愛をしてたんだろうってこと。