不完全美学

「美大に行くことは応援したい。だけど……」


凪は困るかな。
あたしを拒絶するのかな。

だけどこんなにも高ぶってしまった感情は、もはや抑えられない。


「ずっと凪と居たい。当たり前に会える関係になりたい」


頭の上の方で、ひゅるひゅると風の鳴く音がする。

あたしのお気に入りのマフラーがなびくと、凪の栗色の髪も同じようになびく。


空気は冷たいのに、手の平には汗がにじむ。


「あたし、凪が好きだよ……」


風の鳴き声に流されたあたしの言葉。

凪はあたしを見てる。
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