不完全美学

あたしはそのまま下を向いた。

最初の返事を聞かない内に二度目の告白をするなんて、凪は変に思ったかな。

凪の反応が無いので、あたしは恐る恐る顔を上げる。


相変わらず凪の表情は読めない。

ただ真っ直ぐな瞳にあたしの視線は捕らえられる。


「俺は何も面白いことは言えないぞ」


は?

いきなり何を言うんだろう。
ていうか、知ってるよそんなこと。


「何、いきなり」

「よく気のきくやつでもない」


凪は構わずに淡々と続ける。
< 247 / 252 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop