不完全美学
「愛想はないし、喋るのも得意じゃない」
凪は少しつまらなそうに言った。
もう、なんなのよ。
「……知ってるよ! そんなの、全部分かってるよ!」
凪はまだ何か言いたそうだったけど、あたしはそれを遮った。
凪は眉をひゅっと寄せて、遠慮がちに口を開く。
「それでもお前は良いのか?」
気のせいかも知れない。
だけど凪は少し照れているように見えた。
そしてその言葉を聞いた瞬間、あたしにのしかかっていた沢山の不安が少し軽くなった。