不完全美学
「ついでに言うと、大学の方に本命の彼女も居るらしい」
「ちょっと、つまんない嘘言わないでよ」
つっかかるあたしにむかって、凪がまた呆れた顔を向ける。
「都合悪いことは信じないんだ?」
馬鹿にするみたいな凪の口調にムッとするあたし。
「てかさ、なんで凪がそんな事知ってるわけ?」
「加藤が毎日教室で自慢してるからな。彼女が居るっていうのは噂で聞いただけだけど」
凪みたいな、普通の会話さえ面倒がる奴が、わざわざ嘘つくなんて考えにくい。
だからって、ハイそうですか〜って信じられない。