不完全美学

掴まれた腕がキッと軋む。
真っ直ぐ見据える凪の目が、なんだか怖い。


「あたしは、そうやってしか生きれない。でないとあたし、潰れちゃうから……」


凪はあたしの言葉の意味を汲み取ろうとしていたけれど、あたしはそれ以上言わなかった。


あたしの中に渦巻く、汚く淀んだ感情。
それらがごうごうと音を立てるみたいに、沸き上がってくる。

男なんて下らない。
そんな男に利用される女はもっと下らない。

嫌、あたしはそんな女じゃない。
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