不完全美学
翌朝あたしが起きると、もうママは出勤していた。
いつもはあたしが朝食の準備をする頃に家を出るんだけど。
ママは毎日朝早くから夜まで必死に働いている。
パパが遺してくれたお金だけじゃ、生活は厳しいから。
娘であるあたしの他にも、あの貧乏彼氏のことも養っているようなものだから。
ママに感謝していない訳じゃないけど、それでもやっぱり馬鹿馬鹿しいと思う。
こんな勝手な娘と、あんな将来に期待の出来ない浮気男の為に身を削るなんて。
あたしは食パンだけを食べ、学校へ行く準備を始めた。