不完全美学
繰り返し
朝の校舎にせわしない声が響く。
あたしはいくつかの知ってる顔に挨拶をしながら、3階にある教室に向かう。
正面から数学の先生と藍田さんが歩いて来ていたけれど、あたしは無視して通り過ぎた。
責めることすら、もう面倒だ。
「おはよー葉月」
「おはよ、真弓」
教室に入ると真弓がいつものように笑顔を向けた。
あたしはヘラリと笑い返し、席に着く。
「あたしさ、藍田さんと別れちゃったあー」
あっけらかんとしてそう告げると、真弓は目を丸くしてた。