不完全美学
わざとらしく上目づかいで真弓を見る。
「ね、合コンとかしようよ」
めいっぱいの可愛い顔をしてみたつもりだけど、真弓には効くはずもなくて。
「やだよ、面倒くさい。その辺でナンパでもすれば良いじゃん」
「あ、それ良いね!」
「冗談でしょ?」
真弓は呆れたみたいに笑った。
あたしは結構本気だったんだけどな。
その時廊下を見覚えのある栗色の髪が通った。
凪だ。
あたしは駆け寄って声をかける。
「凪!」
凪は何も言わないまま面倒くさそうに振り向いた。