不完全美学

「準備室で何するの?」

「整理。だいぶほったらかしにしてるから」


整理か。
邪魔しない方が良いのかな。
でも手伝えることもあるかもしれないし。


「あたし行っていい?」


凪はひたすら愛想のない表情をしてた。ほんとにコイツは全然読めない。


「まぁ、いいけど」


凪が言った。
笑顔を見せるでもなく、それ以上何か言うでもなかったけど、あたしは嬉しかった。

凪はそれほど悪い奴じゃない。

相変わらず会話は困難だしムカつくこともあるけど、あたしを無理に突き放したりしない。

凪との独特な距離感は、あたしにとって楽だと感じていた。
< 48 / 252 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop