不完全美学
「準備室で何するの?」
「整理。だいぶほったらかしにしてるから」
整理か。
邪魔しない方が良いのかな。
でも手伝えることもあるかもしれないし。
「あたし行っていい?」
凪はひたすら愛想のない表情をしてた。ほんとにコイツは全然読めない。
「まぁ、いいけど」
凪が言った。
笑顔を見せるでもなく、それ以上何か言うでもなかったけど、あたしは嬉しかった。
凪はそれほど悪い奴じゃない。
相変わらず会話は困難だしムカつくこともあるけど、あたしを無理に突き放したりしない。
凪との独特な距離感は、あたしにとって楽だと感じていた。