不完全美学
真弓の言葉にあたしは眉を寄せる。
確かに美術室には頻繁に行っているけれど。
あたしと凪を形容する言葉は「仲が良い」なんかじゃないと思う。
だって別に凪と居て特別楽しい訳じゃないし、凪だって笑顔の一つも見せたことがない。
「仲良くなんてないよ、あたしと凪は」
あたしはそう答えて鞄からお菓子を取り出した。
百円で買えるスナック菓子があたしの最近のお気に入りだ。
「じゃあ何でそんなに通ってるわけ?」
それを聞かれると困っちゃうんだよね。
もちろん美術に興味があった訳じゃないし。