不完全美学

放課後あたしは美術室の中を通って、その隣にある準備室の扉を開けた。


「凪〜?」


凪は部屋の奥の棚から古い絵やら資料やらを取り出していた。

床には凪が取り出したのであろう沢山の絵がまとめられている。


部屋は背の高い棚に囲まれていて、絵の他にも画集やら資料やらでいっぱいだった。

色々な画材も溢れていて、物置って感じだ。


「ねぇ、何か手伝わせて」

「別にいいって。かえって邪魔だ」


あたしはわざとらしく膨れてみせた。

床にまとめられた絵や、資料なんかに目をやる。
< 56 / 252 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop