不完全美学
あたしは凪のつまらなそうな横顔を眺めながら更に聞く。
「お父さん、絵を描く人なの?」
「まあな」
「凄いね、親子揃って絵が上手いんだ」
そう言うとうっすらと凪が嫌そうな顔をした。
触れてはいけないことなのかと思い、口をつぐむ。
別の話題を探すけれど、上手くいかない。
すると凪がポソポソと呟くみたいに話し出した。
「別に上手いつもりなんてない。描きたいように描いてるだけ」
凪は持っていた水色の絵を軽くはたいた。
細かいホコリが舞う。