不完全美学
投げやりな凪のぼやきは続く。
「近頃はどのコンクールに出しても入選しなくなってきた。俺はもうダメなんだ」
俯く凪の顔を、栗色の髪が隠す。
落ち込んでいる凪を、あたしは慰めるべきなのかもしれない。
だけどあたしの中に蓄積されたのは、少しの同情と沢山の苛立ちだった。
「格好つけてるけどさ、凪はただプレッシャーに負けたってことだよね」
あたしが言うと、凪は意外そうな顔を向けた。
その顔にはみるみる苛立ちがこもってゆく。