不完全美学
だけどすぐに納得したように視線を緩めた。
「なるほど、同感」
あたしは凪の情けなく沈む顔を、こっそりと睨んだ。
「だけど今の凪を見て、黙ってなんか居られない」
凪に似つかわしくない気弱な瞳があたしを映す。
いつも陰気だけど、今の凪は更に陰気。
「しっかりしなさいよ! 男のくせに情けない」
ピシャリと言い放ったあたしの言葉に目を丸くする凪。
「……なるほど、それも同感だ」
凪はそう言って薄く笑った。