不完全美学
描く心
落ち着いたBGMの流れるお洒落なカフェ。
隣に居るのは、この前ナンパした彼氏。
あたしは手元のキャラメルラテに、少しも口を付けないでぼんやりとしていた。
「葉月? 飲まないの?」
「あぁ、うん、飲むよ」
今日のあたしはなんだか変だ。
気分が乗らない。
今日って言うか、ここ最近。
この彼氏に飽きた訳じゃないんだけど。
「元気ないな。具合悪い?」
「違うの、そんなんじゃないよ」
「そう? 葉月が観たがってた映画、チケット買ってあるからこの後行こう」
「うん、ありがと」