不完全美学


「凪〜、居る?」


美術室の扉を勢い良く開けて顔を出す。

凪は机を二つくっつけて、その上に花瓶やらグラスやらを並べていた。


「何それ?」

「今日はこれを描くんだ」


あたしは、ふぅん、と相槌を打った。


凪はもう描けるようになったのかな?


あたしのそんな表情を見抜いたみたいに、凪は言う。


「まだ描きたい物は見つからないけど、とりあえず描き続けることにした」


相変わらずの仏頂面だったけど、あたしは笑った。
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