不完全美学
あたしは凪から絵を奪い返すと、それをくるくると丸めた。
凪は少し不思議そうに見てる。
「やっぱさ、絵って正直なんだって思った」
「どういうこと?」
凪はまた答えなかった。
凪との間では普通の半分くらいしか会話が成立しない気がする。
あたしは小さくため息をついた。
凪は気にする様子もなく、テキパキと片付けを始めている。
書き上げた絵はまた準備室へ。
あたしは着々と片付ける凪の横顔に呟く。
「この絵、持って帰っていい?」
「お前のだ。好きにしろ」
凪の声は珍しく優しく感じた。