不完全美学

求めるもの


それからも凪は相変わらず、画用紙に絵を描いていた。

「もうしばらくしたらまた油絵をやる」って、そればかり。

あたしは遊びに行く度に画用紙を貰えるから、今のままでも良いかなって思う。

だけどこの期間は多分凪の充電のためのもので、凪はまた描かなきゃいけないんだよね。


「そういえばさ、凪の他に部員は居ないの?」


あたしはしょっちゅうここに来ているのに、凪以外に会ったことはない。


「居るには居るけど、他の奴らが来るのはたいていコンクール前とかだ」


凪はそれほど興味もなさそうに答えた。
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