不完全美学
「コンクールっていつ? 凪もやるの?」
「多分な。来月末から出品期間だから、そろそろ他の部員も活動し始めるだろ」
凪のその言葉の通り、数日後には他の部員とも顔を合わせた。
そんなに人数は居ないみたいで、しかもみんな部外者であるあたしには無関心。
それでも一応気をつかったあたしは、美術室を訪れてもわりとすぐ帰るようになった。
凪はまだ描けないでいる。
いつもデッサンをやったり落書きしたりして過ごしているみたい。
「作品が描けないなら描けないで良い。また次のコンクールがある」
凪はこの頃、なんだか穏やかに見える。