不完全美学
バッチリとぶつかる視線。
マズイと思って、あたしは部屋に隠れた。
「おう、無視することねえだろ」
あたしの肩がみっともなくビクッと震える。
ミシミシと軋む廊下。
いや、来ないで。
そんな願いも虚しく、部屋の扉が開かれた。
あたしは慌てて服を着る。
「葉月とか言ったな。葉子の娘だけあっていいオンナだ」
ニタニタと笑う男に、あたしは吐き気さえ覚えた。
「出て行って下さい。母は居ません」
「まあ、そう言うなよ」
聞く耳を持たない男。
イライラする。