不完全美学

イテテ、と腰をさする男。

あたしはなんだか胸の奥がぐらぐらと煮えるような感覚を覚えた。


「あんたみたいな腐った男は死ねばいい!死ね!」


煮えた感情を吐き出すように、あたしは叫んだ。

その時、男の後ろにある扉が開いたかと思うと、怪訝な顔をしたママが居た。

ママに気付いた男はママを見上げて言う。


「葉子よ、ガキのしつけがなってねぇな」


ママは何か言いたそうに口をパクパクさせていたけど、男は構わずに立ち上がる。


「もうここには来ねぇ。文句があるならそこのガキに言え」
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