不完全美学
ママの言葉は風に流れる紙切れみたいに弱々しかったのに、あたしの心には凄く重たく響いてきた。
あたしは堪らず部屋を飛び出す。
誰か、誰でもいい。
誰でもいいからあたしをこのモヤモヤから救い出して。
ひたすらに走ったあたしが向かった場所。
親友の真弓の所ではなく、彼氏のバイト先でもなく。
あたしが向かっていたのは、学校の美術室だった。
もう日が暮れていて、凪はもう帰ってしまっているかもしれない。
それでもあたしは美術室の扉に手をかけた。