神々の聖戦
夜が更け、ふたりが眠るといつものように静かな部屋に戻った。
可愛らしい寝顔を確認するとベッドルームからリビングに移動し、ココアを入れてひと口飲んだ。
少し落ち着くと胸元に手を置き呟く。
『来い』
ゆっくりと意識を集中してある“物”を取り出した。
ーカチッカチッ
世界時計が手の中でいつもよりも熱く時を刻む。
ふたりに嘘をついてしまった。
私の意思さえあれば時計を取り出すことは可能だ。
けどそれを教えるには“まだ”早すぎる。
世界時計の見た目は銀細工の施された懐中時計で、普段は心臓に巻きついている。
存在していて存在していない…だから体に害はない。
『今日の貴女は落ち着きがないね。』
これは時の女神の魂の欠片
間違いなく意志がある。
そっと時計を撫でて胸の中に戻した。
この時
何故気付かなかった?
私は時計の静かな警告に…