神々の聖戦
ーコンコンコン
『失礼します。』
「あぁ、ユンとミラくんか!よく来てくれたね。」
私が深く礼をする隣で、ユンは呑気に欠伸をしている。
この学園の理事長でユンの父、ワイアット・クレース。
相変わらず、恐ろしい程に老いないな。
『いいえ…先程のZENOの話ですよね。』
「そうだよ、…君はまた見えてしまったのかい?」
『はい、これが私の能力ですから仕方がありません。それに予知がなくてもユンなら気付いていた筈。』
チラッとユンを見るとまたまた大きな欠伸をしていた。
私はイラッとして睨みを効かせる。
『…教室に入った時の違和感はあまりありませんでした。しかし、あのZENOは詰めが甘すぎでホーク先生の癖や利き手など把握していませんでした。…でも変ですよね。』
「何が変なんだい?」
『…失礼かと思いますが、ここは世界トップの大聖堂学園。あの程度のZENOが簡単に侵入できる筈がないと思います。こんなことは言いたくないのですが……この学園に“裏切り者”がいるのではないでしょうか?』
少しの沈黙の後、ワイアットさんは頭を抱えた。
「前から気になっていたんだ。私の部下や生徒達を疑うことはあまりしたくなかった。けど、心を鬼にしなくてはいけないらしい。
…君達に重要任務を与える。今信用出来るのをふたりしかいないからね。」
彼は意を決したように体を前に乗り出した。
「裏切り者を見つけなさい。」
「『了解』」