神々の聖戦

ーコンコンコン

『失礼します。』

「あぁ、ユンとミラくんか!よく来てくれたね。」

私が深く礼をする隣で、ユンは呑気に欠伸をしている。

この学園の理事長でユンの父、ワイアット・クレース。

相変わらず、恐ろしい程に老いないな。

『いいえ…先程のZENOの話ですよね。』

「そうだよ、…君はまた見えてしまったのかい?」

『はい、これが私の能力ですから仕方がありません。それに予知がなくてもユンなら気付いていた筈。』

チラッとユンを見るとまたまた大きな欠伸をしていた。

私はイラッとして睨みを効かせる。

『…教室に入った時の違和感はあまりありませんでした。しかし、あのZENOは詰めが甘すぎでホーク先生の癖や利き手など把握していませんでした。…でも変ですよね。』

「何が変なんだい?」

『…失礼かと思いますが、ここは世界トップの大聖堂学園。あの程度のZENOが簡単に侵入できる筈がないと思います。こんなことは言いたくないのですが……この学園に“裏切り者”がいるのではないでしょうか?』

少しの沈黙の後、ワイアットさんは頭を抱えた。

「前から気になっていたんだ。私の部下や生徒達を疑うことはあまりしたくなかった。けど、心を鬼にしなくてはいけないらしい。
…君達に重要任務を与える。今信用出来るのをふたりしかいないからね。」

彼は意を決したように体を前に乗り出した。

「裏切り者を見つけなさい。」

「『了解』」

< 16 / 40 >

この作品をシェア

pagetop