神々の聖戦
『来るわよ!!』
硬い皮膚で覆われているZENO達に笑った。
そんな皮膚じゃ、私のナイフには勝てないわ。
ルイスの剣の方が何倍も強い!!!
私はナイフを左から右に振る。
それだけで、あっという間にさよならよ。
砂になって散っていくのを見送ると頭の中に映像が流れてくる。
『上!!!』
「くっ」
格別の力を持ったヤツらが上からツルを伸ばしてくる。
植物型のZENOか…
アニーは足を取られたのか宙吊りになってしまった。
気色の悪いものが上から見ている。
私は火薬を内ポケットから出して上に投げ壁に付けられていたランプを銃で撃った。
アニーもそれに気付いてナイフでツルを切り地面に伏せる。
ードォン!!!!!
ボロボロと天井から岩が落ちてくるのを避けてその通路を走り抜けた。
そして見えたのは学園の森の中。
「ミラ・ゼンド、
アニー・スチュアート……合格!!!」
「『よしっ』」
私達は拳を合わせた。
『アニー、あなたの体術なかなかのものだよ。』
先程の通路で私がナイフで闘っている間に素手で奴らの急所を突いていた。
アニーはこれからどんどん強くなる。
「ありがとう!でもミラには叶わないな。」
照れくさそうに頬をかいて笑った。
その無邪気な笑顔は少しルイスに似ている。
「ふたりとも神器も使わずによくやったな。しかもミラはただのナイフひと振りでここまでやるとは…アニーも素手でよくやったよ。」
ホーク先生は嬉しそうに私達の頭を撫でた。
その大きな手にアニーと目を合わせて笑う。
「ミラ!」
『ユン』
「お疲れ!俺達が二番目みたいだね。
実技でまたミラに負けちゃったなー」
不貞腐れたように頬を膨らませている。
“女子か”
と突っ込みたいのを堪えた。
『早さは勿論だけど、やっぱりその過程が重要だと思うわ。』
「そうだぜ!まだ勝算はある!!!」
ルイスがおちゃらけたようにユンの後からゆっくり歩いてきた。
どうやらふたりはペアのようだ。
「やめときなルイス、オスカークラスきっての天才美少女に勝てるはずないだろ。」
アニーは馬鹿にしたようにルイスをからかう。
「あぁくそ!けど剣術では負けねぇから!」
「そういうのは実技の授業中の時に評価されるものだからこのテストにはあんまり関係ないだろ。」
「……はぁ、まぁ俺達男子にはユンがついてる。」
「才色兼備で文武両道でってほんとふたりをみてると腹が立つな」
アニーとルイスは目を細めて私達を見比べる。
『…神の器なんだからオスカークラスには美人しかいないわよ。』
「「言い切った!しかも認めた!!」」
『アニーもルイスも才色兼備じゃない。
ルイスは…文武両道とは言えないけど。』
「くっはは!!言われてやんの。」
ユンは吹き出してルイスを馬鹿にする。
みんながルイスをからかう気持ちがわかったわ。
楽しく話しているといつの間にか全員戻ってきていたようで先生が手を叩いて知らせる。
「よし!全員合格おめでとう。
テストはこれで終了だ。
今日はゆっくりやすみなさい。」
テストが終わったようだ。
いよいよ…か
私はユンと目を合わせた。
この後協会に向かわなくてはいけない。
無事に帰れる保証はないんだ。
『アニー、ルイス、じゃあね。』
手を振って背を向けた。
隣にユンが並んでくる。
「父さんが外出許可を出してくれたからすぐに向かえるよ。」
『ありがとう』
私はネクタイをきゅっと上げてナイフを拭いた。
いよいよ、狩人ゴールド試験だ。