大好きなキミに花束を。



『いっぱいになっちゃったねー。』


『……財布の中身は減ったけどな。』



私がお菓子を持って、お父さんがもう一個を持って、空いた片方の手は、お互いの手でぎゅっと繋がれていた。


今日のご飯楽しみだねとか、明日は何して遊ぼうかとか、幼稚園で何があったかとか、他愛もないことをおしゃべりしては、笑みがこぼれた。



『ねーねー、彩心ねー、大きくなったらパパみたいな人と結婚するんだ!』


『はははっ。そこはパパとって言って欲しかったけど嬉しいよ。』


『彩心がお嫁さんにいっちゃったらパパ泣くー?』


『うん。寂しさと嬉しさで号泣しちゃうよ。……あ〜ちょっと待って泣けてきた。』


『あははっ!はーやーいー!』



今でもはっきり覚えてる。


切なそうな、嬉しそうな、溢れてきた涙を手で拭うお父さんの姿は、すごくカッコよくて。


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