大好きなキミに花束を。



「だけど俺、もう不安になるのやめた。」


「…え?」


「不安になるの、もうやめた。これからは、この子が俺の彼女で、他の誰のものでもないって、思うことにした。」



先輩が大人になっていく。


私よりも、早く。



たった1年の差なのに、すごく大きく感じる。



「……さらちゃん?」


「……っ、」


「…どうして泣いてるの?」


「…っ、わからない…。」



どうして目から水が出るのかわからない。


これは何に対する涙なのか。



ただ、私の手の中にある小さな幸せが、私をこんなふうにしている。


それだけは、頭だけでなく、心でもわかっていた。



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