大好きなキミに花束を。



「じゃ、早く行こ〜。」


「じゃあまたね、さらちゃん。」



一生帰ってくんなクソ野郎とでも言いたかったのだがそれすらも言う価値がない程のチャラ男だ。



「彩心〜!また呼び出し?あのクソ野郎から?」


「夜籠(よる)。どこ行ってたの?さっきの授業いなかったでしょ。」


「屋上だよ!数学なんてつまんないからね〜。」



まだ教室で作業をしている数学の先生に睨まれているこの人は幼なじみの、

菊川 夜籠 (きくかわ よる)。性別男。


名前の静けさとは裏腹に、存在がうるさいと言われる人物だ。(彩心論)



「でもあの先輩も見る目ないよね。このクラスには僕というかっわいい子がいるのに。」



もう一度言おう。こやつは男である。
恋愛対象も女の子という極々普通の男である。


しかし少々自意識過剰なところがあって、自分のことをその辺に転がっているアイドルより可愛いと思っているところだ。

この学校で一番可愛いのも僕、とこの間言っていたことがある。


実際可愛いのかと聞かれれば可愛いほうだと思う。


白い肌にクリっとした大きな目。茶色いクルクルした地毛に、イチゴのような赤い唇。


本当に男かと思うほどの可愛さだが、それを自分で自覚しているところがもはや可愛くない。



気持ち悪いを超えて可哀想だとも私は思う。



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