大好きなキミに花束を。









「……この辺は坂が多いな。さっきから登ったり下ったりしてるぞ。」


「そうですか?普通だと思いますけど。」



それにしても……やっぱり遠い。


コンビニなんてそこら辺にあるものなのに、なんで片道15分もかかるわけ?


行くなんて言わなきゃよかった。



「なぁ彩心。…1つ、聞いてもいいか?」


「なんですか?」


「彩心は、ほんとに陽彩のことは好きじゃないんだよな?」


「え…。」


「あ、答えたくないなら答えなくてもいいけど、ちょっと聞いてみたくなってな。」


「べつに……好きじゃないですよ。」


「えっ、そ、そうか!そっかそっか!ならよかった。」


「……なにがよかったんですか?」


「ん?ああ、私は、彩心が好きになった人を好きになりたくないって思ってる。だから彩心が陽彩を好きじゃないって聞いて安心したよ。」


「………それってつまり、」


「へへっ。言おうか迷ってたんだ。陽彩は彩心にベタ惚れだし、勝ち目はないってわかってたから。だけど、最近になってちょっと頑張ってみようと思って。」


「………。」


「だから、彩心が陽彩を好きじゃないって聞いて安心したんだよ。」



──ドクンッドクンッ



「…そう…ですか。」



この胸のうるささは、きっと目の前の恋してる師匠が可愛いから。


きっと…。



それ以外は、ありえない。





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