【完】ちょいワル先生と優等生
「だからもう、ゆずちゃんが入れる隙もなくなっちゃったんだよ」
どうしてそんなこと言うの…?
もうお兄ちゃんの心の中に茜ちゃんがいることはわかった。
痛いほど理解した。
でも、どうして先生はそれを私にわからせたの?
それを私が知ることで、先生に何の利益があるの?
「ゆず!」
私がそんなことを考えている時に、前を歩いていた茜ちゃんが私の元に駆けてくる。
「ゆずのお母さんの様子が心配で…
しばらく泊まっていってもいいかしら?」
私が生まれる前、お母さんは茜ちゃんによく接していたらしい。
それはもう本当の娘のように。
だから今でもお母さんは茜ちゃんが好きだし、茜ちゃんもお母さんを好いてくれていると思う。
それに私も茜ちゃんが大好きだ。
だから、この申し出は本当に嬉しい。
いつもなら嬉しいんだけど…
お兄ちゃんとのことを知って、全力で歓迎することができない。
どこか…抵抗感を覚えてしまう。
「も、もちろん!」
「よかった〜ありがとう!」
笑顔いっぱいになる茜ちゃん。
…ほら、お兄ちゃんもずっと茜ちゃんを見てる。
こんなお兄ちゃんはあんまり見たくないのに…