【完】ちょいワル先生と優等生
「晶に奪われたって言ったでしょ。
だから仕返しのつもりだった」
ずっと、そのことを根に持って生きてきたんだ先生は…
「高校の頃からゆずちゃんの話は聞いてたんだよ。やれ卒園だ、入学式だって。
だから晶が大切にしてたものを奪いたかった、汚したかった。
イイコのゆずちゃんをワルイコにしたかったんだよ。俺の手でね」
先生の目から闇が感じられる。
きっと、すごく苦しかったんだろう。
茜ちゃんを奪われたことも、お兄ちゃんに裏切られた形になってしまったことも。
「でも、ゆずちゃん本当に似ててさ。
だんだん放っておけなくなっちゃった」
……茜ちゃんに、似てたから…
私が茜ちゃんに似てなかったら…今この瞬間はなかったってこと…?
私は本当に茜ちゃんの身代わり、なんだ。
自分から言い出したことなのに、ひどく傷付いてる。
私、先生のこと好きになってたんだね…
だからこんなにも辛いんだ。