【完】ちょいワル先生と優等生
でも、先生はまだ茜ちゃんのことを心のどこかで想ってるんだろう。
私を見てくれてるって、そう思ってた。
でも私を通して茜ちゃんを、見てたんだね…
胸が苦しい、痛い…
「こんな俺、もう愛想つかした?」
「そんなの…」
出来ない。出来ないよ…
お兄ちゃんの仕返しのために近付いてきて、
茜ちゃんに似てるから放っておけなかった。
"私"という存在がない。
なのに、私にとって先生と過ごした時間は本物で楽しい思い出で…
気付いたらこんなにも好きになってたのに…
今更、忘れるなんて出来ない。
愛想だってつかせられない。
たとえ私が茜ちゃんに似てるから、他の女の子より構ってくれたんだとしても
いつか"私"だから、って理由になるかもしれない。
ちゃんと"私"を見てくれるかもしれない。
そう思ってしまうから…
たとえ茜ちゃんの身代わりだとしても
先生の傍にいたいって思っちゃうんだ。